新しいアドオンが登場: 『Quake』の「QDOOM」

投稿者: Joshua Boyle

Download the QDOOM Add-on via the in-game menu in our re-release of Quake today

『DOOM』シリーズの30周年を、『Quake』でもお祝いしましょう。今回登場する『Quake』の無料アドオンは、『DOOM』のデーモンが異次元からやってくるクロスオーバー作品です!

QDOOM

A dark room full of oncoming enemies.

「QDOOM」は、伝説的な『DOOM (1993)』の最初のエピソード「Knee-Deep in the Dead」を『Quake』のエンジンで再構築したアドオンです。id Softwareが生み出し、ジャンルをさらなる高みへ押し上げた『Quake』そして『DOOM』が最強のタッグを組み、両シリーズへの愛情が込められた作品となっています。

『Quake』のゲーム内にあるアドオンのメニューから「QDOOM」をダウンロードしてお楽しみください。PC、Xbox One、PlayStation 4、Nintendo Switchに対応し、Xbox Series X|SおよびPlayStation 5でも後方互換性があります。

  • デーモンをなぎ倒す戦いをもっと楽しみたい方は、John Romeroが手がけた『DOOM (1993)』および『DOOM II』向けの無料アドオン『SIGIL II』もぜひプレイしてみてください!

この空前絶後のクロスオーバーの開発秘話について、「QDOOM」を生み出した、新たなアドオン制作者であるDrugodことAntonio Gonzálezさんにお話を伺ってみました。

QDOOM editor screen.

Slayers Club(以下、SC): 『Quake』版のNods to Modsへようこそ! 『DOOM』の30周年を記念した独占アドオンを初公開できることに感激しています。まずは、自己紹介をお願いします!

DRUGOD: 初めまして! スペイン出身のAntonio Gonzálezです。Drugodという名前で活動しています。受賞歴もある『DOOM』と『Blood』のクロスオーバーである『DOOM』のMOD、「Bloom」の開発元のBloom Teamでプログラマー兼レベルデザイナーを担当しています。

現在は、チーム初のゲーム『Voidwalker』の開発に忙しく取り組んでいます。このゲームは『Quake』のエンジンをベースにしたレトロFPSで、ブルータリズムという建築様式にインスパイアされたデザインが特徴です。レトロシューティングのファンの方なら、きっと楽しんでいただけると思います!

SC: 独創的な「Knee-Deep in the Dead」やデーモンといった『DOOM』のさまざまな要素を『Quake』に取り入れるのは簡単な作業ではありません。このユニークなアドオンを作ろうと思ったきっかけは何でしょうか?

DRUGOD: MOD制作に興味を持ち始めて以来、『Quake』のMODの素晴らしいデザインやライティングのセンスに惹かれて、いつか自分も作ってみたいと思っていました。Bloom Teamの一員としてMODである「Bloom」を開発、リリースした後、ずっと作りたかった『Quake』のMODを開発するなら今だと思ったんです。「Bloom」で『DOOM』と『Blood』をクロスオーバーさせるコンセプトを考えてそれが成功したことで、『DOOM』と『Quake』シリーズどうしも同じように融合させられるのではないかと考えました。

このアイデアを実現するために、『DOOM』のモンスターをQuakeCに変換する実験から始めました。『DOOM』のモンスターを全て変換することに成功した後は、両作の雰囲気を取り入れたモンスターを作ろうと考えました。ですが、この試みに協力してくれる3Dアーティストがいなかったため、MODの複雑さについて再考せざるを得ませんでした。そして、この段階で、『DOOM』の伝説的なエピソード1を『Quake』で再現するというコンセプトが実を結びました。こうしてフォーカスするポイントを変えたことで、魅力を落とさずにシンプルさを高めたMODプロジェクトを『Quake』の世界で追求できるようになったんです。

Firing a weapon at oncoming enemies.

SC: このアドオンでは、『DOOM』や『Quake』から登場する敵をゲーム内で選択できるオプションがありますが、この機能はどうやって実現したのでしょうか?

DRUGOD: 「QDOOM」の開発では独特の課題に直面しました。技術的というよりも概念的なもので、特にユーザーにオプションを用意する方法がそうでした。ゲームメニューを変更することは不可能だったので、別のアプローチを考案する必要がありました。最終的にスタートマップ自体に選択メカニズムを組み込んだのですが、これには大きな理由が2つあります。第一に、この方法は以前から『Quake』をプレイしている人にとって馴染み深いからです。『Quake』では難易度を選択するときと同じような方法でエピソードを選択するのですが、その馴染みのある方法でモンスターの種類も選択できるようにしました。第二に、将来的に「QDOOM」にエピソードが追加される可能性を考慮すると、このような選択形式にしておくことで、ゲームを最初からやり直さなくてもエピソード間でモンスターの種類を変更することができるようになります。

技術面では、これまで使われていなかったエンジンの変数を利用しました。これらの変数は、ユーザーの選択を保存することができ、その選択に基づいて異なるモンスターを内部的に呼び出すことができます。このアプローチは、セーブデータの整合性を保つだけでなく、[再リリース版『Quake』]をはじめとする他のソース移植版との互換性も保てます。このソリューションによって、既存のゲーム構造という制約の中で要求されるイノベーションのバランスを効果的に取ることができ、プレイヤーにシームレスかつ斬新な体験を提供できます。

QDOOM editor screen

SC: 『Quake』のステージを制作されてどのぐらいになりますか?

DRUGOD: 私が『Quake』のMOD制作に取り組み始めたのは2020年頃で、比較的最近です。『DOOM』のMOD制作に関してはもっと古く、90年代半ばから『DOOM』のマップを作っていました。ですが、「Bloom」MODに真剣に取り組み始めたのは2015年のことで、ここで私のMODへのアプローチに大きな変化がありました。この時期、私はMODコミュニティにより深く、より献身的に関わるようになりました。

SC: 現在の『Quake』のMODシーンについてどう思いますか?

DRUGOD: 近年、『Quake』のMODコミュニティは大きな成長を遂げました。これは「Trenchbroom」のような新しいツールの登場と、Dumptruck_dsのようなコンテンツクリエイターの影響力のある作品によるところが大きいと思います。こうしてコミュニティが発展したことにより、エンジンはより身近なものになり、その性能に対する理解も広まりました。[再リリース版『Quake』]の登場がこの勢いにさらに拍車をかけ、シリーズが再び注目されるようになりましたし、『Quake』がもつMOD開発の裾野の広さに光が当たっています。コミュニティが再び活気を取り戻したことが、新たな世代のクリエイターが独自のプロジェクトに着手するきっかけとなっていますね。

ただし、このような進歩があったことを踏まえても、私はまだまだ多くのリソースとサポートが必要だと考えています。『Quake』のMODがもつ可能性を真に引き出すためには、コミュニティ内での知識の共有、包括的なドキュメンテーション、最新のOSと互換性のあるツールの開発が欠かせません。

Firing a weapon at oncoming enemies.

SC: このエピソードを置き換えるMODは、チームで開発をしたのでしょうか?

DRUGOD: Bloom Teamの『Voidwalker』のプロジェクトに積極的に参加していますが、この特別な試みには私一人で取り組みました。私の役目は、『DOOM』のマップを『Quake』のフォーマット、特に『Quake』のレベル構造の核となるBSP(バイナリ空間分割)フォーマットに変換することでした。さらに、このプロジェクトのプログラミング面も全て管理しました。

2Dアートに関しては、私ができることはもっと限られていました。メニューに微調整を加えたり、『DOOM』のスプライトを『Quake』のカラーパレットに合わせるなど、細かい修正の部分ですね。こうした調整以外には、2Dアートの面ではあまり深く掘り下げず、主にマップの変換と、このプロジェクトを実現するために解決するべきプログラミング上の課題に集中しました。

QDOOM editor screen.

SC:このアドオン制作のためにどのようなツールを使用しましたか? また、制作期間はどれくらいだったのでしょうか?

DRUGOD: このMODプロジェクトでは、専用のツールを活用しました。マップの調整には「Trenchbroom」、『Doom』のリソース抽出には「Slade」、テクスチャ編集とパレット修正には「GIMP」、QCコーディングとマップ変換には「Notepad++」、『DOOM』のスプライトを『Quake』のフォーマットに合わせるには「FIMG」、『Quake』互換テクスチャファイルの作成には「TEXMEX」を使用しました。どのツールも『DOOM』の要素を『Quake』エンジンにマージする上で必要不可欠で、どれが欠けてもこのMODは実現できなかったでしょう。

このプロジェクトに取り掛かり始めたのは2022年11月ですが、開発に費やした期間は約9ヶ月と比較的短めですね。

QDOOM editor screen.

SC: 『Quake』コミュニティで好きなMOD制作者や、お勧めのMODを教えてください。

DRUGOD: 「Quoth」、「Dwell」、「Alkaline」、「Reliquary」、「Arcane Dimensions」、「Rubicon 2」、「Contract Revoked」のようなプロジェクトを実現させたクリエイターの方々には頭が上がりません。このMODからはどれも、『Quake』コミュニティがもつトップクラスの創造力と技術力が伺えます。どのMODも文句のつけどころがない傑作ですし、MODという枠組みの中でこれだけのことができるんだという可能性を見せてくれます。こういったクリエイターの方々の取り組みがあってこそ、私自身もMOD制作者として頑張ろうという気持ちになりますね。

QDOOM editor screen.

SC: 他に感謝を伝えたい人はいますか?今が絶好の機会ですよ。

DRUGOD: これまで私を支えてくれた全ての人たち、特に私の家族、そしてアドバイスとサポートをしてくれたNahuelにはどれだけ感謝をしても足りません。Bloom Teamの同僚たちには、長年にわたって、そしてこの先においても協力してくれることに深く感謝したいと思います。また、DiscordサーバーのBoomers Dimensionにもこの場を借りてお礼を伝えたいです。

そして、レトロなFPSゲームに興味をお持ちの方のために、近日リリース予定のプロジェクト『Voidwalker』のSteamリンクをシェアさせていただきます。もし興味を持っていただけたら、ウィッシュリストに加えていただけると嬉しいです!

QDOOM editor screen.

1993年に登場した大人気シェアウェア、『DOOM』の「Knee-Deep in the Dead」の精神を受け継いだ無料アドオン「QDOOM」は、30年越しに登場した再リリース版『Quake』でプレイできます。今すぐ『Quake』のゲーム内アドオンメニューから「QDOOM」をダウンロードしてお楽しみください!

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