『DOOM (1993)』と『DOOM II』の新しいアドオン「Troopers’ Playground」が登場
投稿者: Joshua Boyle
過去の名作がアドオンのラインナップに加わりました! 「Troopers’ Playground」は1996年、『DOOM II』が発売されたちょうど1年後にリリースされ、DOOMコミュニティを騒がせたアドオンです。DOOMコミュニティサイトdoomworld.comでは「歴代WADSトップ100」にも選ばれています。
Troopers’ Playground
本日より、この魅力溢れる無料アドオンが、PC、Xbox One、PlayStation 4、Nintendo Switch、およびXbox Series X|SとPlayStation 5の後方互換で利用可能な『DOOM (1993)』 と『DOOM II』のゲーム内メニューからプレイできるようになりました。
ただし、急いでプレイする前にまずはこちらをご覧ください。前回、『Quake』のアドオン「Beyond Belief」の紹介でも登場してくれた才能あるゲスト、Matthias WorchのNods to Modsインタビューをお届けします。
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Slayers Club(以下SC):まず始めにお聞きしたいのは、これほどまでにすごい作品をどうやって生み出せたのでしょうか? テクスチャの差し替えからまったく新しいボスの追加まで、しかもそれを『DOOM II』製品版の発売からわずか1年でリリースしたなんて!
Matthias Worch(以下MW):私のコンピューター関連のキャリアで言うと、このアドオンの頃はすでにMOD用のグラフィックの更新や新規作成の経験をたくさん積んでいました。SSIの『Gold Box』ゲームシリーズをベースにした市販のD&Dゲーム作成キット『Unlimited Adventures』で使うために、かなり大規模で洗練されたRPGモジュールを作っていたんです。グラフィックの再カラーリング、調整、作成にはDeluxe Paint IIを使っていました。この経験が、「Troopers’ Playground」制作の土台作りに役立ったと思います。
もちろん、GFXをWADに取り込むのは話が別で、これにはThe Innocent CrewのNWT(New WAD Tool)を使いました。これはDenis Möllerが彼ら自身のMOD(『Obituary』を含む、優れた部分的変換MOD)制作のために書いたものです。今日のようなグラフィカルなUIではなく、DOSツールでした。説明書はなく、『DOOM』がテクスチャに使用しているパッチやPNAMESのアプローチを理解するのに時間をかけたのを覚えています。でも、ツール自体は洗練されていて、むしろユーザーフレンドリーでした。少なくとも、私の記憶では。今回、再リリースのためにNWTを引っ張り出す必要はなかたので、記憶にどれだけ補正がかかっているかは見当もつきません。
「Troopers’ Playground」のロジックそのものはDehackEdで作成したものです(これは別のDOSインターフェースで、添付文書なしでした)。でも当時はみんなそうでしたが、どうにかうまく動かそうという思いが強かったので、試行錯誤しながら理解していきました。時には試行錯誤が行き過ぎることもあって、オリジナルのリリースではDOOMトルーパーがステージ内のアイテムを拾えたのですが、これらの拾えるアイテムの中には実際のキーカードが含まれていたことに当時の自分は気付かず、そのせいでステージをクリアできないなんてこともありました。あとで気付いて慌てて全てのFTPサーバーでアップデートを出すことになりました!
SC:アドオンを作って7年後となる2003年の「doomworld」トップ100で上位にランクインされた時はどう感じましたか?
MW:「Troopers’ Playground」が“最高の”という形容詞のつくランキングに入っているのは嬉しかったですよ。そこに名前を連ねている仲間(“ライバル”なんて呼べません)がそうそうたる面々ですから。
でも、正直に言えば「Troopers' Playground」をリリースした時点でこの仕事はやり遂げたような感覚だったので、こういったランキングにはあまり関心を持っていませんでした。リリースした時点でたくさんの人に作品を届けられましたし、それが友人関係を築くきっかけになり、いくつかのメガWAD制作(「Memento Mori 2」と「Requiem」)に誘われて貢献することができましたからね。そこでのレベルデザイナーたちとの出会いによって、当時の私が必要としていた足場固めができました。2003年にはゲーム業界でデザイナーとしての地位を確立できていたんです。だから、このようなリストに「Troopers' Playground」が入っているのを見ると、自分がどれだけ遠くまで来たのか、そしてどうやってここにたどり着いたのかを思い出させてくれますね。
SC:「Troopers’ Playground」の中心となるインスピレーションはどこから来たのでしょうか?
MW:私が『DOOM』のMOD制作を始めたのはかなり遅く、1995年に”やっと”インターネットにアクセスできるようになった(つまりDOOMエディターにアクセスできるようになった)時でした。その時点ですでに素晴らしい「DOOM」のステージが大量にリリースされていて、それらを夢中でプレイしていました(もちろん、デスマッチをプレイしている時以外はですが)。「Memento Mori」、「Obituary」、「Slaughter Until Death」、「The Evil Unleashed」(すべて制作はInnocent Crew)、Casali Brothersによる数々のマップなど、これらすべてが「DOOM」のMODの可能性を見せてくれて、自分でもやってみようと思えたんです。
「Troopers' Playground」の制作にあたって、それ以上の一貫したビジョンは持っていなかったし、それが表れていると思います。ひたすらステージを作り続け、新しいアイデアを試し、マップ作りを上達させていきました。初めて作ったステージは、実は『Heretic』のものでした。テクスチャが好きだったので。でも、その努力はすぐに中断して、ゲームプレイが好きでデスマッチをプレイしていた『DOOM II』に切り替えました。最初に完成させた『DOOM』のマップはリリースではボツにしましたが、ボーナスマップとして収録しました。「Troopers' Playground」はその後に作った最初の9つの『DOOM』ステージで構成されてるんですよ。
SC:「Troopers' Playground」は、あなたが『Quake』や『Beyond Belief』で本格的な3Dステージ制作に取り組む前に制作したものです。ゲームやエンジンが変わって、レベルデザインへのアプローチは変わりましたか?
MW:『DOOM』の前には、Eclipseが『Castle Master』のような代表的な3Dゲーム制作に使っていたエンジンの製品版である3D Construction Kitでかなり洗練された3D世界を作っていました。なので、『DOOM』で2.5Dのステージを作るのはある意味で後退だったんです。ただ、『DOOM』は3DCKで作れるものよりずっとスピーディでアクション性の高いゲームでした(3D空間もずっと洗練されていました)。だから、2Dのアプローチはこれらのステージを作るのに役立ったと思います。というのも、1995年当時のレベルエディターでは、ステージを上から見たワイヤーフレームの表示しかできなかったからです。3D表示域はなく、2Dビューだけを見ながら、3D空間、テクスチャやライティングがどのように見えるか、どのようにプレイするかなど、他のすべてを想像しなければなりませんでした。
でも、レベルデザインにおける主な違いは何と言ってもゲームプレイの部分です。『Quake』では一度に3~5体の敵が登場するのが普通でしたが、『DOOM』では何十体もの敵にプレイヤーを襲わせることができます。そして、多くのエンカウントでそれを活かした戦闘が繰り広げられます。2Dでそれを計画するのは非常にうまくいきました。世界の複雑さと管理しやすさのバランスがちょうど良かったんです。
SC:あなたは『DOOM(1993)』、『DOOM II』、『Quake』のアドオンをリリースした最初のMOD製作者です。1996年から1997年という人生の一時代が公式アドオンという形で戻ってきたことをどう感じていますか?
MW:一つは、この仕事やこの業界に身を置いて、もうこれだけの年月が経ったのかと思い知らされますね! また、現在のゲーマーの多くが『DOOM』で育っておらず、3Dシューティングの進化を直接体験していないことも改めて思い起こされました。だからこそ、idとBethesdaが『DOOM』と『Quake』の歴史を守り続けてくれていることに感謝しています。
当時これらのステージを作っていた子供たちは、25年以上が経った今になってもそれらの話題で盛り上がったり、『DOOM』の公式アドオンとしてまさか採用されたり、そしてその「かつての作品」を新たなリリースによって今度は自分たちの子供にプレイしてもらえるとは想像もしていなかったでしょう。
SC:『DOOM』と『Quake』の両方で活動したいと考えているMOD製作者に何かアドバイスはありますか?
MW:何年もの間、私は『DOOM』がバトルやレベル、ゲームデザインについて教えてくれるあらゆることについて話してきましたが、それらの学びはすべて現代のゲームデザインにも応用できると思います。もし今『DOOM』のマップを作っているなら、私のGDCでの講演“Decisions That Matter: Meaningful Choice in Level and Game Design”をチェックして、その中で紹介した直交ユニットの差別化といった概念を自分のものにすることをおすすめします。
スライドの一部を引用すると、「DOOMを長くプレイしているとわかること:このゲームの敵と武器は、複数の軸で相互作用するように細かく調整されている。最初は、直感的で、かろうじてコントロール可能な(そして単純化された)生き残りを目的とした戦いのように見えるが、実際には、常に新しい戦術や戦略を可能にする、多くのゲームプレイ要素が複雑に絡み合っていることがわかる。」
このトピックについてはずっと考えていて、できる限りゲーム業界に伝えようとしてきました。もしかしたら、最近の『DOOM』のMOD製作者たちにも役立つかもしれません!
SC:『Quake』コミュニティでお気に入りのMOD製作者はいますか? 紹介したいおすすめのマップやMODはありますか?
MW:何度か名前を挙げましたが、もう一度Denis MöllerとThomas Möllerのユニット、「The Innocent Crew」を紹介しておきたいですね。当時大きなインスピレーションを与えてくれました。その後、2人とはIRCやリアルで交流するようになりました。Denisは、インターンとしてダラスのRitual Entertainmentの私のところに2週間ほど来てくれたこともあったんですよ。
「Eternal Doom」(『DOOM Eternal』と混同しないように注意!)は、MM2やRequiemの多くのマップと同様、昔プレイしたときにとても感銘を受けました。
SC:他に謝意を述べたい相手は? 今が絶好の機会ですよ…
MW:前回のインタビューでも言ったと思いますが、もう一度:何年経っても『DOOM』を存続させている人たち全員に、大きな拍手を送りたいです。私の初めてレベルエディターであるWadEdのMatthew Ayres(「Troopers' Playground」の大半はWadEdで作らました!) 、今回のリリースを手伝ってくれたidとBethesdaの皆さん、特にMike RubitsとKevin Cloud。それをさせてくれたEpic Gamesに!
それから、旧FIDONetのDOOM.GERのスタッフ、特にDOOMKINGリモートモデムリーグに参加してくれた全プレイヤーにも。時には直接会ってプレイすることもあったんですよ! あのLANパーティーは想像以上にクールで思い出深いものになりました。
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