新しいアドオンが登場: 『Quake』の「Episode Enyo」

投稿者: Joshua Boyle

Download the free Episode Enyo Add-on for Quake today!

『Quake』の無料アドオンに、特別な作品が加わりました! 現在配信中の「Episode Enyo」は、『Quake』のアクションに新たなレベルを加えるだけでなく、別シリーズの正統な前日譚でもあります!

EPISODE ENYO

The inside of a dark metal room.

5つのステージを含む「Episode Enyo」のキャンペーンでは、Poppy Worksが開発し、Ziggurat Interactiveから発売された横スクロールアクションゲーム『Slave Zero X』の敵役である精鋭の暗殺者、Enyoが主人公であり操作キャラクターになります。『Quake』のテンポのいいシューティングアクションを駆使した「Episode Enyo」は『Slave Zero X』の前日譚で、『Slave Zero X』も初代『Slave Zero』(1999)の4年前が舞台となっています。今すぐ『Quake』のゲーム内アドオンメニューから「Episode Enyo」をダウンロードしてお楽しみください! 『Quake』は、PC、Xbox One、Xbox Series X|S、PlayStation 4、PlayStation 5、Nintendo Sw5itch向けに好評発売中。

Various metal pillars connected to each other.

「Episode Enyo」と『Slave Zero X』は世界観だけでなく、開発者の多くも同じとなっています。今回は、この想像力豊かなアドオンの制作者であるIronwood Softwareのメンバーと、「Episode Enyo」と『Slave Zero X』のパブリッシャーであるZiggurat Interactiveのチームメンバーにお話を伺いました。ぜひご覧ください!

--

Slayers Club(以下、SC):今回はインタビューをお受けいただきありがとうございます! このアドオンを『Quake』コミュニティに紹介できることができ嬉しく思います。まずは、自己紹介をお願いできますか?

James Greenwood: Ironwood Softwareの創設者、James Greenwoodです。2019年から、仕事の合間を縫って『Quake』のマップ制作をしています。自分の世界をFPSで作りたいとずっと思っていて、YouTubeでDumptruck_dsの「Trenchbroom」入門動画を見てから、レベルデザインについて学んでいきました。その中でたくさんのオリジナルマップを制作したのですが、『Quake』コミュニティはとても協力的で、たくさんのことを学ばせてもらいました。この業界で数年働いた後、Poppy Worksに入社し、『Slave Zero X』開発チームの一員となり、その後Ironwoodを設立しました。

Ironwoodの主要メンバーは、Fabio(bmFbr)、Kebby、AlekswithaK、そして私の4人です。また、Mazuもマップ制作のゲストとしてメンバーに加わっています。私の担当はレベルデザインと、HUDやタイポグラフィなどのアート要素です。(Fabio)はリードコーダーで、レベルデザインとSFXを担当しています。Kebbyはリードモデラーで、斬撃のアニメーションも担当してくれています。AlekswithaKは才能あるリードミュージシャンですし、Mazuは「Mechanized Mayhem」と、ボーナスとして収録した楽しいデスマッチ用ステージを提供してくれました。

Kebby、Aleks、そして私はアメリカに、bmFbrはブラジルに、Mazuはフィンランドにいるので、とても国際的なチームですね!

Wolfgang Wozniak: Wolfgang Wozniakです。Poppy Worksの共同創設者であり、「Episode Enyo」と『Slave Zero X』のプロデューサーです。

Cole Law: Coleです。Ziggurat Interactiveのマーケティングチームに所属しています。

Rose McKee - プロデューサー(Poppy Works): Ironwood Softwareは4人のコアチームメンバーで構成され、「Episode Enyo」ではマップ制作のゲストを迎えました。Poppy Worksは制作アシストを務め、Zigguratは素晴らしいパブリッシャーです。Ironwood Softwareは結束力のあるチームで、今回のような素晴らしいMODをしっかりと完成させてくれたのは流石でした。

A metal lounge room with graffitied walls.

SC: 『Quake』アドオンの最新作「Episode Enyo」は、『Slave Zero』(1999)と『Slave Zero X』(2025)と同じバイオパンクなディストピア世界が舞台ですが、時系列的にはどこに位置するのでしょうか?

Wolfgang: In 『Slave Zero X』デラックスエディションのアートブックでは、『Slave Zero』(1999)の出来事につながる歴史の分岐点に到達するため、私たちがどのような世界を構築したのかを詳しく紹介しています。内容が気になる方は、ぜひそちらもチェックしてみてください。シリーズの時系列は、「Episode Enyo」、『Slave Zero X』、初代『Slave Zero』の順となっています。『Slave Zero X』も「Episode Enyo」も過去を描くつもりで始めたわけではないんですが、開発しているうちにそうなってしまいました!

Cole: Poppy Worksが『Slave Zero X』で「TrenchBroom」と『Quake』のビジュアル言語を活用して『Slave Zero』の世界に命を吹き込んだのを見たとき、『Slave Zero』の世界観をさらに深めるなら『Quake』のMODを追求するしかないと思いました。「Episode Enyo」は、『Quake』コミュニティにインスパイアされ、『Quake』コミュニティに返したラブレターのようなものです。

A long metal conveyor belt.

SC: 『Slave Zero X』の設定をもとに『Quake』アドオンを作ろうというユニークなアイデアの元は何だったのでしょうか? また、なぜゲームの敵役であるEnyoを主人公にしたのでしょうか?

Wolfgang: メインのプロジェクトが終わりに近づいた頃、『Slave Zero X』の全環境を直接手がけた経験と才能を兼ね備えた『Quake』レベルデザイナーとMOD制作者のチームがあることに気付いたんです。そこで、ゲーム本編用に制作した全素材を自由に使ってもらって、発売を記念する無料の『Quake』用MODを制作できないかとチームにお願いしました。Enyoは『Slave Zero X』の登場キャラクターの中で『Quake』らしい武器を使える唯一のキャラクターなので、彼女を主人公にするのはすぐに決まりましたね! リードライターのMiles LunaとキャラクターデザイナーのFrancine Bridgeは、ゲームの出来事につながる彼女のストーリーについて、すでに良いアイデアを持っていました。

『Slave Zero X』の開発を始めたとき、『Quake』のレベルフォーマットを(若干の修正を加えて)使うことで、私たちのエンジンに対応した方法で素早く環境を作ることができました。なので、『Quake』のレベルデザイン経験者を探すことが理にかなっていたんです。求人リストには、『Quake』の経験者が必要だという旨を遠慮なく書きましたが、趣味と実務の両方で『Quake』プロジェクトの経験した人をすぐに見つけることができました。そこからはとんとん拍子で事が運びましたね!

Cole: Wolfgangが言ったように、まさに理にかなっていました。2Dピクセルアートと3Dアセットをミックスさせ、1996年のシューティングゲームの懐かしさに満ちた今回のアドオンは、物語だけでなくグラフィックの面で見ても『Slave Zero』(1999)の精神的な前日譚として位置づけられますし、さらにEnyoの存在もあります。彼女は銃撃戦と破壊が大好きなキャラクターですが、そんな彼女としてハイペースなFPSをプレイできることが素晴らしいですね。

SC: このアドオンの完成までに費やした時間を教えてください。

James: 不具合や問題の解消に追われながらですが、約半年でプレイ可能なまでにまとまったバージョンが完成しました! もちろん、これはPoppy Worksから既にしっかりと準備されたアセットが提供されていたことと、主要メンバー4人のうち3人が以前に『Slave Zero X』の制作に携わっていたという豊富な経歴があったからこそできたことです

A dark and gritty neighborhood.

SC: 現在の『Quake』のMODシーンについてどう思いますか?

James: 私たち全員がid Softwareの3D FPSの大ファンであり、『Quake』MODシーンの長い歴史と、その革新や解釈を高く評価しています。「Arcane Dimensions」や「Alkaline」のような洗練されたオーバーホールMODから、「Copper」や「progs_dump」のような繊細なMODまで、『Quake』のMODコミュニティには誰でも楽しめるMODがあります。テーマも中世ファンタジーからディストピアSF、クトゥルフ系ホラーまで様々で、想像できるものなら何でもあると言っていいでしょう。『Half-Life』や『Counter-Strike』は『Quake』のMODから始まったように、多くのプロジェクトにはわずかながらも『Quake』のDNAが残っています! 『Quake』のMODコミュニティは全体的にとてもオープンかつ協力的で、2021年に「KEX」がリリースされたことで、若い世代の人もより多くのデバイスで『Quake』を楽しみ、MODを作るようになっています。

Rose: 『Quake』は長い歴史を持つゲームで、遊べるMODの数の多さには驚かされますし、それを取り巻くコミュニティは信じられないほど盛り上がっています。私たちのアセット、銃、『Slave Zero X』の世界の多くを『Quake』コミュニティに提供できて、本当に嬉しく思っています。チームは「Episode Enyo」をとても楽しくプレイできており、コミュニティも同じように感じてくれることを願っています!

Kebby: 経験豊富なアーティストから初心者まで、幅広い層が互いに学び合っているのは素晴らしいことだと思いますし、新しい視点から学ぶのをいつも楽しみにしています。私が参加する前は、『Quake』でマンガのようなおもちゃの光線銃とか、レンガ造りの銃とか、アヒルの敵を見るとは誰も思っていなかったと思います! 『Quake』のMODは、古代の獣や野生の生物でいっぱいの古い王国、マルチプレイで超高速で動ける機能の追加など、忠実な改良から、より凶悪な武器や攻撃的なモンスターの行動を追加する完全な変更MODまで、本当にバリエーション豊富です。『Quake』が何であるか、あるいは何になり得るかは、MOD制作者次第です。そして、私たちがアイデアを共有し、多くの才能ある人たちと協力することで生まれた作品を、全員で楽しみ、一緒にプレイできることを嬉しく思います!

Cole: Rose、Kebby、Jamesの全員がいいことを言ってくれました。『Quake』とそのMODシーンは、ゲーム界に届き続けている贈り物のようなものです。由緒あるゲームに反復と発明を加えながら、新たな物語や経験どころか、ゲームまで生み出しているんです! 『Quake』というゲームに果てはあるのかと思ってしまうくらいです。『Quake』のMODシーンにおける創造性と膨大な数の可能性は、私がインスピレーションを得る必要性を感じたときに頼れる存在であり続けていますし、裏切られたこともありません。

Enemies waiting to attack in a dark room.

SC: このアドオン制作のためにどのようなツールを使用しましたか?

James: 使用した主なプログラムは、「Trenchbroom」(レベルデザイン)、「Photoshop」、「TexMex」、「Wally」(テクスチャ編集)、「PakScape」(アーカイブ編集)、「Fimg」です。「Fimg」はgfx.wadの変更に便利でした。

Kebby: 「Blender」のバージョン2.82aを『Quake』プロジェクトのメインプログラムとして、「Episode Enyo」の新キャラクター13人と新武器9種類のモデリング、テクスチャ、アニメーションに使用しました。弾薬アイテム、ヘルスアイテム、アーマー、パワーアップ、ジブ、敵の武器、投射物を含めると、作成した新しいアセットの総数は100を超えます。「Blender」で制作した完成モデルは、Quake 1 MDLとしてエクスポートされます。これらのファイルには、3Dメッシュ、パレット化されたテクスチャ、全ての頂点アニメーションデータが含まれています。『Slave Zero X』のモデルを利用することができましたが、ゲーム内で使用する前にほとんどのモデルを手直しする必要がありました。エピソードの最後に登場する大ボスは、3Dスカルプター兼アニメーターのTyが制作し、テクスチャは『Slave Zero X』チームの環境アーティストであるshoTgunが担当しました。MD5モデルを使わない限り、この敵を「KEX」のエンジンに直接インポートすることはできなかったので、完成形のテクスチャを維持しながら頂点数を減らし、MDLバージョン用に新しいアニメーションを作成する必要がありました。

「SLK img2pixel」は素晴らしい画像エディタで、全てのモデルのテクスチャを正しい『Quake』パレットカラーにバッチインデックス化するのに使いました。また、高解像度ペイントのためのダウンサンプリングとディザリングもこのエディターで行いました。一旦パレット化したらGIMPを使ってさらに編集し、テクスチャを調整しました。例えば、不要な明るいスポットを防ぐために別個のエミッシブマスクを持つようにしました。環境テクスチャは、素晴らしいフリーのピクセルペイントプログラムである「Wally」を使って作ることができます。これらのツールを全て一緒に使用すると、再調整や新しいアートの作成がすぐに行なえますし、全てが『Quake』の制限内で動作するようになります。「TexMex」は、レベルエディタ「TrenchBroom」で使用するWADに環境テクスチャをパッケージするためのプログラムです。エピソード内の装飾用の小物の一部は、典型的なMDLモデルの代わりに、ソリッドBSPブラシとして作り直しました。

「Episode Enyo」のソースコードは、リードプログラマー兼レベルアーティストのbmFbrが「FTEQCCgui64」を使ってQuakeCで書きました。これは「Alkaline」MODの改良版で、多くの素晴らしい新機能が追加されています! 私はちょっとしたコーディング作業のサポート役として、主に武器のアニメーションやジブの設定、敵のダメージデータを調整を行ない、GitHubを使って変更を更新しました。LibreOffice/OpenOffice版のExcel形式のスプレッドシートは、初期段階で武器のバランス問題を整理するのにとても役立ちました。

サウンドエフェクトに関しては、「Audacity」がオーディオフォーマットに最適です。強化された「KEX」エンジンのおかげで、より高品質のサウンドサンプルを使うことができます。武器の射撃や剣戟などの効果音は、オーディオエンジニアでミュージシャンでもある『Slave Zero X』チームのRussellが作成しました。Enyoや敵キャラクターのセリフの録音はPoppy Worksが担当しました。「Episode Enyo」では、リードミュージシャンのAlekswithaKが「Ableton Live」で制作した8曲の新曲が流れます。ゲームを最高に楽しむためにも、ぜひ音量を大きくしてプレイしてください!

Fabio: コーディングには「SublimeText」と「GitHub Desktop」アプリを組み合わせてリポジトリを管理し、「FTEQCC」でQuakeCのコードをコンパイルしました。サウンド編集には、主に「Audacity」と「ocenaudio」を使いました。それ以外の作業には、他のメンバーが既に挙げてくれた、「Wally」、「Photoshop」、「Krita」、「Blender」、「FIMG」、「q1mv」などを使いました。

Outside of a warehouse in a state of decline.

SC: 『Quake』コミュニティで好きなMOD制作者や、お勧めのMODを教えてください。

James: 特に注目しているのはmetlslime(「Rubicon 2」)、Sock(「Arcane Dimensions」)、Kell(「Quoth」)、Lunaran(「Copper」)ですね。他にもSFテーマMODの「Alkaline」、「progs_dump」、最近の作品だと「Re:Mobilize」などがありますが、最初に挙げた4つのMODはカスタムマップに最も使われていますし、歴史的に重要なものだと思います。

プレイアブルマップを含めたオリジナルMODでお勧めのものを以下に紹介します(順不同)。

1. Rubicon 2

2. Rubicon Rumble Pack(「Rubicon 2」に新しい要素を加えた素晴らしい拡張パックです)

3. Arcane Dimensions

4. Underdark Overbright

5. Alkaline

6. Dwell

7. Zerstörer (最初期のMODですが、個人的には傑作だと思います)

他にもたくさんあるので、このリストをきっかけに色々と試してもらいたいですね! 例えば、「SMEJ」の両エピソードはかなり面白いですが、間違いなく上級者向けのMODです。

AlekswithaK: Fairweatherは、まさに『Quake』コミュニティの中核だと思います。彼らのビジョンと才能は他になくマッチしていて、私が人生で見てきた中でも一番ではないでしょうか。マップ制作、コーディング、モデリング、コミュニティプロジェクトのオーガナイズなど、あらゆる面で素晴らしいと思います。FairweatherがMODシーンで輝いていなければ、私たちの多くはここにいなかったでしょう。ぜひ「Dwell」をプレイして、彼らが作り出したものを確かめてほしいと思います。

Cole: 素晴らしいMOD制作者やMODはたくさん思いつきます。Fairweatherの「Dwell」は満場一致の名作ですね。あとは、賛否両論あるかもしれませんが、Redfieldの「Raven Keep」も素晴らしいと思います。pallokalloの「Gloom」も本当に凄いと思いました。でも何よりも、ぜひ自分で『Quake』のMODアーカイブを眺めてみてください。大小さまざまな、本当に素晴らしい名作がきっと見つかります。

A dark pink cloudy sky looming overhead.

SC: 他に感謝を伝えたい人はいますか?今が絶好の機会ですよ。

James: はい! プラズマ弾のスプライトを使わせてくれたptoing、『Quake』MOD制作のベテランであるLunaranとBal、この機会を与えてくれたWolfgangとPoppy Works、初期の「Alkaline」の頃に助けてくれたShamblernautとKhreathor、長年にわたってサポートしてくれた「Dwell」チーム、素晴らしい「Trenchbroom」のチュートリアルを提供してくれたDumptruck_ds、そして、「Trenchbroom」のKristian Duskeと、『Quake』の生みの親であるid Softwareに感謝を伝えたいです!

Fabio: 他のチームメンバーがすでに挙げてくれた方々に加えて、マップコンパイラツールに関して活躍してくれたericwとParil、そして、Quake Mapping Discord、Slipseer、Quaddicted、func_msgboardといった主要な"ハブ"に広がる『Quake』コミュニティ全体にも感謝を伝えたいです。コミュニティの集合知があったからこそ、私たちは今の場所まで来れたのだと思います。また、コンソールプラットフォームでのバグを解決してくれたid SoftwareのMike "sponge" Rubitsにもこの場を借りてお礼を言わせてください。

Guards taking post on various ledges.

『Slave Zero X』は、Xbox Series X|SSteamGOGPlayStation 5で2月18日発売予定で、現在SteamおよびXbox Series X|Sで体験版を配信中です。この素晴らしい新アドオンを『Quake』コミュニティに提供してくれたIronwood Software、Poppy Works、Ziggurat Interactiveのチームに改めて感謝します。「Episode Enyo」は『Quake』のアドオンメニューから無料で入手できます。ダークな世界に飛び込み、アクションに備えましょう!

シェアシェアすべての記事
Slayers Club

最新記事