Nods to Mods インタビュー:「Eviternity」メイキング

投稿者: Joshua Boyle

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今回も「Nods to Mods」ではEviternityの特集をお届けします。Joshua “Dragonfly” O'Sullivanが、この驚異的な32ステージ構成の『DOOM』Megawadをどのように作ったかを詳しく語ってくれました。インタビューの第1弾をまだお読みになっていない方は、こちらをご覧ください。

SC:このMegawad制作には、どんなツールソフトを使いましたか?

DF:とても多くのツールを使いました。チームメンバーのそれぞれが色々なツールを使っていました。マップ制作で主に使ったツールはGZDBBF(GZDoomBuilder-BugFix)とSLADEです。グラフィックの大部分はAdobe Photoshopで、音楽はSekaiju、Reaperなど色々なツールで作ったと思います。

SC:どのようにしてステージをデザインしますか?

DF:それについては、こんな記事を書いたことがあります。

マップを作る際に、事前に計画を立てることはほとんどありません。レイアウトのスケッチや、マップの概略図などは一切なしで、気が向くままに作っていきます。いつもまず最初にやることは、新しいマップで作ってみたいテーマを決めることです。決めたテーマに沿って、部屋やプレハブみたいな小さいアセットを作りながら、作りたいもののインスピレーションを得ていきます。

色々実験してアイデアに納得できたら、ゲームプレイに取り入れることのできそうな、テーマに合った独創的な要素を考えることが多いです。例えば、エジプト風のマップでは罠のある神殿を作ったり、雪や氷に包まれたマップでは、滑りやすく風の影響を受けやすいフィールドって感じに。最後に、マップの目標を決めます。例えば、鍵を3つ見つけて脱出、フォースフィールドの解除、ボスを倒す、などです。

Eviternity – Ingame 2

テーマとスタイルが決まったら、作業を始めます。実験で作ったもの自体をマップの基礎にして、そこから発展させてマップを作っていくことが多いです。そのとき思いついたアイデアは、全て形にするのがいつものやり方です。それを作っている間に、次に作る部屋やロケーションはどうするか、いくつも同時に頭の中で考えています。それを全部マップに組み込んで、全体的な目標を達成する上でどのような意味を与えられるか、ということを考えています。

いつもゲームプレイとレイアウトの流れに注意して、楽しく熱中できるステージを作るように心がけていますし、極端に難しかったり、バグが多かったり、道に迷いやすいような、プレイヤーをイライラさせてしまうステージを作らないように気をつけています。

SC:敵には新しいものと、既存の敵に変更を加えたものがいますが、両者のインスピレーションは何から得ましたか?

DF:いい質問ですね! 最初に作ったモンスターは青緑色のピンキー、ナイトメア・デーモンです。これに使われているスプライトは、もともとAmuscariaが自身の手によるプロジェクト「Hellforged」(先日リリースされたので、ぜひチェックしてください!)用に作ったものです。Eviternityで使われている新しいカラーパレットを生かせるように、この敵の色を変えました。ナイトメア・デーモンとの戦闘は、通常のデーモンよりも接近戦になるように設定し、プレイヤーに活発に動き回らせることを狙いました。

そして、さらに2種類のモンスターを実装しました。まずはフォーマー・キャプテン(Former Captain)で、これは高速で弾を撃ってくるモンスターです。antares031の「Struggle」に登場する敵で、許可を得てほぼそのまま使いました(実はEviternityの全モンスターの挙動を作ってくれたのはantares031なんです!)。次に、あの「アストラル・カコデーモン」を実装しました。この恐るべき“浮かぶ死の球体”は、「中~高レベル」モンスターとして設定してあります。こいつの攻撃力と体力はレヴナントとアーチバイルの中間あたりですが、飛ぶことができるんです。速い移動速度、中レベルの体力、超強力で予測不可能な攻撃によって、戦闘のパターンを一新することを狙いました。こいつが出てくるほとんどの場面では、最優先で倒さなければならない敵となり、プレイヤーは上手に立ち回ることを求められます。実は、アストラル・カコデーモンの攻撃は最初のリリースから最終リリースまでの間に弱体化されています。多くの人がこいつの一撃で倒されてしまったからです!

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さらに、殲滅者(Annihilator)を実装しました。これはバロン・オブ・ヘルのサイボーグ版で、ロケットランチャーとチェーンガンを装備した非常に危険な存在です。でも、うまく立ちまわれば、こいつの攻撃を使って他の敵に大ダメージを与えられるんです。このスプライトの編集はXaserが行いました。既存のいくつかのスプライトを編集して、サイバーバロンにチェーンガンをくっつけたものです。

最後に、ラスボスのアークエンジェルス(Archangelus)です。Eviternityの制作初期から、天国というテーマを試してみたいと決めていました。OTEXテクスチャパックに白大理石と黄金のテクスチャがかなり入っていたからです。ukiroも、その2種類のテクスチャを充実させることに乗り気でした。そこで、ラスボスは堕天使にしようと決めました。ラスボスが堕天使であることは、幕間のテキストで暗示しています。Eviternityの初リリース時には、私の過去のプロジェクト「Skulldash」のスプライトを流用していましたが、最終バージョンでは、『DOOM』仲間のClayが作ってくれた芸術的なレンダー画像に置き換えました。ukiroがサウンドデザインの仕事をしている友人と連絡をとって、新しい効果音を作ってくれるように頼んでくれました。そのおかげで、このラスボスはひときわ素晴らしい出来栄えとなりました。

SC:テクスチャパックについてお聞きします。ukiroがOTEXテクスチャパックを完成させる上で、どのように共同作業を行いましたか? どんなやり取りがありましたか?

DF:テクスチャパックへのベータアクセス権をもらえたのは大ニュースでした。パックに入っているテーマを全部試して、そこからどんな独創的なアイデアを生み出せるか試そうと思いました。EviternityをMegawadにしようと決めてしまえば、あとは試したいテーマを決めることが自然な流れでした。

OTEXテクスチャパックを制作した張本人、ukiroからもメッセージを預かっています。

ukiro:長年にわたって数千ものテクスチャを作ってきました。『DOOM II』に存在するテクスチャ数を優に超えるぐらいです。そこから使えるものがたくさんあるはずだと思ったので、Dragonflyが32ステージ全てに私のテクスチャを使うと英断してくれたときは本当に嬉しかったです。彼なら私がいろいろなテクスチャを作っていることをしっかりと見せられると思ったので。

でも、Dragonflyが2つのチャプターをそれぞれ氷の城と天国にすると決めたとき、その興奮はすぐにちょっとしたパニックに変わりました。というのも、そのベースとなるのは、私がほとんどテクスチャを作成しなかった比較的小さなテーマだったからです。最終的には、彼がそうしてくれたことにとても感謝しています。テクスチャパックの完成度がより高くなりましたし、私も親しみ慣れた世界から少しだけ外に出ることができましたから。人はこうやって成長していくんですね。新しいことにチャレンジさせてくれる人とチームを組むのはいつだって楽しいです。

開発中、マップ制作者がテクスチャに特定のスタイルや差分を必要としていたため、開発が進むにつれてそういったものを追加していきました。テーマが少し具体化してくると、そのステージに刺激されて新しいテクスチャのアイデアが浮かび、次々と新たなマップのアイデアが湧いてきました。皆がお互いの創造性を得られるとても楽しい環境でした。

Eviternity – Hinter den Kulissen 2

DF:ukiroが言ったように、マップ制作者とukiroが一緒に作業するという状況は相乗効果をもたらしました。マップ制作者がテクスチャを使用できるようになれば、ukiroがさらにテクスチャを作れるようになったのです。これは本当に楽しい経験になりました。カスタムテクスチャが“すぐに使える”という環境でまた作業してみたいですが、決して当たり前のことではないですよね。

OTEXのv1.0が間もなくリリースされます(この記事が掲載されている頃にはすでにリリースされているかもしれませんが)。ご自身のプロジェクトでOTEXを使ってみたいという方はukiroのウェブサイトにアクセスしてください。

SC:このWADで使用している楽曲を教えてください。

DF:このWAD制作において、音楽は楽しい部分でした。マップの雰囲気やトーンを整えてくれますし、数少ない『DOOM』仲間の才能を披露するチャンスでもありましたからね。どんな楽曲を使用しているか気になる方は、Eviternityに付属しているテキストファイルを見てください。全曲目が確認できますので。

確かに、個人的にご紹介したい傑作はいくつかありますけどね。数十曲あるEviternityのオリジナル楽曲のほかに、他の楽曲をベースに作成された曲がいくつかあります。

まず、Eviternityの音楽を最高のものにしてくれたJimmy(James Paddock)とEris Falling (Tristan Clark)に大きな感謝を伝えたいです!

JimmyはMIDIのエキスパートで、Eviternityにも彼が制作した楽曲が15曲入っています。新しい曲が必要になればすぐ「俺がやる!」と言って、たった数時間で新曲を完成させてしまうこともありました。実は、彼が作曲したMAP19の曲はマップクリアにかかる時間とほぼ同じ長さで作られているんです! Jimmyの過去作品には私が制作したマップにピッタリの曲もあり、少しだけ調整が必要になった場合にも彼はそれを引き受けてくれました。

例えば、MAP21の曲「Everything Explodes」には、地獄をテーマにしたチャプターの最初のステージに必要な圧倒的なメタルサウンドと素早いスタートアップが備わっていますが、このMIDIは少しだけ短かったんです。“ジェントっぽいブレイクダウン”を追加できるかどうか尋ねると、彼は私の要望にうまく応えて曲を引き延ばし、Eviternityで使用されている曲の中でもお気に入りの曲に仕上げてくれました。

Eviternity – Hinter den Kulissen 3

Jimmyの貢献についてはまだまだ話し足りないぐらいですが、他にも協力してくれたミュージシャンをご紹介します。Eris Fallingは、Eviternityの名を冠した神々しい曲を作曲してくれました。これはMIDIを使用していない唯一の曲で、アークエンジェルス(Archangelus)とのラスボス戦を盛り上げるために作られています。Erisはここで面白い仕掛けをいくつか仕込んでくれました。例えば、マップ開始時に即座に前へ走って武器を回収すると、アリーナの外壁が崩壊する瞬間とこの曲のタイミングがピッタリ合って、劇的な効果をもたらしているんです。これは説明を聞くよりも実際にプレイしたほうがその素晴らしさを実感できると思います。

他にも“Dial Up For Murder”として知られるミュージシャンや、Kyle "Nabernizer" Dobson、Brayden “AD_79” Hart、Stewboy(Skillsawの「Ancient Aliens」のサウンドトラックを作曲)といった素晴らしい方々が協力してくれました。Mark KlemとAlfonzoが過去に制作した曲もいくつか使用しています。

インタビューはまだまだ終わりません – より次回の記事をお楽しみください。Eviternity制作者へのインタビューシリーズ最終回です! MOD制作に興味がある方は、シリーズをご覧ください!

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