新しいアドオンが登場:「Tetanus」
投稿者: Joshua Boyle
コミュニティが作成したデーモン討伐アドオンのシリーズに、新アドオンが登場します。2023年のDoomWorld Cacowardで準優勝を飾った「Tetanus」が、再リリース版『DOOM(1993)』および『DOOM II』の無料アドオンとして楽しめるようになりました!
TETANUS
『DOOM (1993)』および『DOOM II』のゲーム内アドオンメニューから、Tetanusを今すぐダウンロードしてプレイしましょう。PC、Xbox One、PlayStation 4、Nintendo Switch でプレイ可能で、Xbox Series X|S および PlayStation 5 との互換性があります。
バラエティに富んだ効果、ビジュアル、そしてデザインを備えた「Tetanus」は、Squonker Teamの多才なクリエイターたちが集結して完成しました。Nods to ModsのDOOM版をお楽しみください。そしてこのエキサイティングなMOD制作の舞台裏を、Squonkerのスタッフと一緒に探っていきましょう。
Slayers Club(以下SC):アドオン「Tetanus」のリリース、おめでとうございます。そして私たちのために時間を割いてくださりありがとうございます。はじめに、あなたのチームと過去の作品について少し教えていただけますか?
Squonker Team:Squonker Teamは、2000年代初期のWADに影響を受けたMegawadを作るため、2021年の6月に友達同士の小さなグループとして結成されました。このWADは最終的に「Vigor」となり、「Squonker 3」と「Moonlit District」の後にリリースされました。
これらのWADに続いて、DOS、およびありとあらゆるソースポートで動作するよう設計された多数のエピソードが登場しました。この間に、メンバーの数は5名から、ゲストを含めて12名ほどに増えました。元はチームの名前も無かったのですが、「Squonker 3」をリリースしたため、冗談の意味合いも込めて、続編のWADということから名前を取りました。
SC:その挑戦的なネーミングにも関わらず、「Tetanus」のビジュアルは、青い空や鮮やかな緑に満ち、瑞々しい草や苔が生い茂り、新鮮な空気を感じさせるものです。このアドオンのユニークなビジュアルの方向性は、どこからその着想を得たのですか?
Egg Boy:「Tetanus」の開発は2022年の10月に開始しました。ユニークなテーマやコンセプトを試すために作られたテストマップが始まりです。これは開発者のテクスチャ美学である『Orange Box』に基づいています。わかりやすさを重視したマッピングスタイルを明確に伝えるために用いられました。このビジュアルスタイルはまた、『スーパーマリオ オデッセイ』の森の国(スチームガーデン)のレベルにもインスパイアされています。
ZeMystic:私たちの多くが、Egg Boyが提供してくれたテーマやアイデアを元に、他のソースからインスピレーションを受けました。オリジナルのテクスチャには、生い茂る緑と錆びついた技術基地という、レトロなスター・ウォーズ的SFの雰囲気がありました。
サウンドトラックについては、レトロな「ビーテムアップ(ベルトスクロールアクションゲーム)」のスタイルにしたいと、Egg Boyが言っていたので、私が作った音楽は、『ソニック・ザ・ヘッジホッグ』、『ストリートファイターII』、そして『ミュータント タートルズ:シュレッダーの復讐』に着想を得ています。 これらは確かに、普段作っているものとは少しジャンルが違いますが、自分が作曲した中でも最も楽しいものになりました。
Bobby:元々は、今までのプロジェクトのようなスピーディーなセットを作ろうと考えていましたが、開発のある段階において、私たちは「Tetanus」の開発に重点をおくことに全力を注ぐことにしました。
私にとっても他の人たちにとっても、これは「Valiant」で見られるマップに似た、大きくて大胆な縦長のデザインを意味していました。スケールバンプや後に追加されたテクスチャ(黒色へのフェード、グレートーンの使用など)により、チームの何人かはよりダークな(言わば低い彩度の)雰囲気で表現するようになり、より深みのある冒険的な世界観になりました。これはWADの後半で見られるマップや音楽に反映されています。
Yugiboy85:私は元々は、 幼い頃に遊んだ『スター・ウォーズ ドロイドワークス』というゲームへのオマージュのようなものを作りたいと思っていました。それで最終的には、このゲームに登場する訓練施設を少し思い起こさせるような、全体的な配色を取り入れることになりました。
デザイン面では、コミュニティメンバーであるTarnsman(BTSX制作者の一人)からインスピレーションを多いに受けています。彼が言った言葉が、ある日心に響いたんです。「マップにはクールなオープニングショットが必要だ。なぜならそれはプレイヤーが最初に目にするものだから。」雰囲気を一発で決めてしまいますからね。ですから、最初に大きな塔を作ったわけです。長さ72(場合により144)のラインを多用したのは、見た目が面白いですし、いい感じの幾何学が生まれるからです。加えて、私の得意分野である「暗闇へと消えゆくステップ」。これを、ここぞという場所に配置せずにはいられませんでしたね。:D
SC:「Tetanus」のレベルデザインとテクスチャに関して、チームとして同じ「言語」を話すためにどのように取り組みましたか?
T. Will:このテクスチャは意図的に制限されており、特定の美的感覚に沿ってデザインされています。おそらく、一番難しかったのはカラーパレットの調整ですね。オレンジと緑を強調しなければならず、かつ青と赤が映えるように色相を調整する必要がありましたから。その過程でテクスチャのセットを拡大しましたが、オリジナルのテクスチャを引き立てることを忘れないようにしました。これらのテクスチャには、ビジュアルアイデンティティとゲームプレイの両方を際立たせるための厳しいガイドラインがありました。例えば、各トラップにはビックリマーク付きのフロアタイルがあり、これによって戦闘が事前にわかります。これは敵とエンカウントする新しいスタイルです。
全体の統一感を図るため、マッピングのインスピレーションを共有することも役立ちました。私たちの、ほぼ短く、パンチの効いたマップデザインと最小限のテクスチャのディテールは、「Back to Saturn X」シリーズ、Erik Almの「Scythe」三部作、そしてThomas Van der Veldenの「Revolution」から着想を得ています。
ZeMystic:グラフィックの忠実度の高さは、Squonkerお決まりの接続部における重要ポイントです。たとえば、私が「Tetanus」でレンガのテクスチャを取り入れたいと思った時、Egg Boyに「ダメ」と言われました。
Egg Boy:まさにその通り。
SC:これからDOOMのMODクリエイターを目指す人のために、おすすめのツールやリソースを教えていただけますか?
Egg Boy:マップにはUltimate Doom Builder、WADをまとめるのにはSlade 3、MIDI作成にはFL Studioを使用しました。私の場合、マップ制作プロセスの大半は、その場でテクスチャを追加したり合成したりできるようPhotoshopを開いていました。これは、一度に画面に表示できるlinedefやvisplaneの量が制限されているバニラ互換のマップを作るときに非常に重要です。アドオン版のテクスチャはほとんどUberが担当し、オリジナルのテクスチャの多くを作り直しました。
Uber:このプロジェクトにおける私のグラフィック的な作業は、ほぼ全てPhotoshopで行い、タイトル画像の一部ではClip Studio Paintを使用しました。
テクスチャを一から作成するにあたって、私はPhotoshopのフィルターを使用してベース素材に深みを加えました。ベース素材は大抵の場合、ノイズや傷のあるカラーブロックに過ぎないからです。この手法なら、少しの調整で実際に使用できるテクスチャを簡単に作れます。ただ一方で、少なくとも私のワークフローではレイヤーにレイヤーを重ね、それぞれに異なるフィルターを使うので、最終的にプロジェクトファイルがとても大きくなってしまうことが多いです。
ペンタブレットの使用は、もちろんとても助けになりました。これが無くても作業はできますが、ベース素材にディテールをペイントするといったプロセスになると、これを使った方が作業がとても楽しくなります。私は主に、タイトル画面作成のために、ゲーム内スクリーンショットをペイントするのに使用しています。クレートに深みを加えたり、砂に埋め込まれた貝殻を描き足したり。グラフィックの編集や絵を描くことが好きな人は、ぜひ手にしてほしいですね。
ZeMystic:サウンドトラックを制作する際、私たちはMIDIを作るためにみんなそれぞれ異なるプログラムを使用していました。Egg BoyとKorpはFL Studio。私はAnvil Studio。AD_79とBobbyはSekaiju。それぞれのプログラムには違った強みがあり、各作曲者の独自の個性を引き出してくれます。
Yugiboy85:使用したのはUDB(Ultimate Doom Builder)とchoco-renderlimits(Chocolate Doom内の機能)のみです。バニラマップを手がけたのは二度目だったので少し課題もありましたが、最終的には上手く行きました。
SC:『DOOM』コミュニティで一番好きなMOD制作者、あるいはMOD制作チームを教えてください。また、その中で一番のお気に入り作品は何ですか?
Egg Boy:Erik Almの「Scythe」は、私のマップ制作キャリアにおける大きなインスピレーションであり、最初にプレイしたPWADでもあります。BTSXシリーズも、私のビジュアルスタイルに大きな影響を与えています。特に、EsselfortiumとMechadonの作品が好きです。EANBの作品も大好きです。特に、「Scythe」の短くパンチの効いたスタイルを、現代風にアレンジした「Glaive」シリーズがお気に入りですね。Rookの「Sucker Punch 2」にも似た雰囲気を感じます。
T. Will:Jimmy Paddockから一番インスピレーションを受けていると思います。特にスピードマッピングの考え方にはかなり影響を受けていますね。彼の「Deathless」と「Earthless」は、お気に入りのidインスパイアMODです。BTSXのWADにも深くインスパイアされていますね。
ZeMystic:Skillsaw、BTSXチーム、Erik Alm、そして、Squonker Teamにいる他のみんなを「パクりまくろう」とする私の絶え間ない努力なしには、今のようなマップ制作はできなかったでしょう。「Ancient Aliens」と「Vanguard」は、私がプレイした最初のWADのひとつで、自分でデザインしたマップのひとつひとつに影響を与えています。
BTSXのディテールや美しいテクスチャのこだわりは、レベルデザインの視覚の面において、Squonker Teamのほぼ全員がインスパイアされています。私は補講をサボって高校の図書館で「Scythe」をクリアしました。それ以来、このWADには『DOOM』をプレイしたいと思うたびに戻ってきます。
Bobby:お気に入りのマップクリエイターの名前がすでに多く挙がっていますが、今こうやって話している間にもモダン・クラシックを作成しているマップクリエイターたちにも、称賛を送りたいと思います。Cacodemon187は、私が主催していて、ずっと前に廃止したコミュニティプロジェクトで活動していた時に出会ったバニラマップ制作の天才です。DOOMのMODにおいて、彼の作品はとてもエキセントリックで雰囲気があって個性があります。私の最近のお気に入りは彼のミニエピソード、廃鉱の町が舞台になった「El Viaje de Diciembre」です。
Danlexとは個人的にはあまり親交がありませんが、彼のマップも素晴らしく、エンジンの工夫がとても巧みで、ジャンルを越えた革新性も備えています。「Lullaby」、「Kawaii 808」(WAD「Capybara」より)、そして「The All-Ghosts Forest」が彼の代表作です。私が影響を受けた古いWADで言うと、Da Werecatの「Reconstruction/Decomposition」は時代を越えた名作だと思います。これは最も完成度が高く、完璧なペース感を持つマップのひとつで、「宇宙船」や「巨大なネバネバ」といった言葉を聞いた時に真っ先に浮かぶマップです。
Uber:グループのみんなに大きく影響を与えた作品(BTSX、Skillsaw、Erik Almの作品たち)に加え、私はチームの他のメンバーから多くの影響を受けています。これまでの私の経験のほとんどが、彼らとの共同作業から得られたものだからです。特にAD_79にはとても影響を受けています。レイアウトの構築方法や強いマップコンセプトを次々に生み出して、それを最大限に活用する手法に感銘を受けています。
Yugiboy85:私のインスピレーションの源と、お気に入りのMODクリエイターと言えば、BTSXのほとんどの人たちです。みんな同じぐらい素晴らしいので、特定の名前は挙げたくありませんね。ただ、私の作品のほとんどはSkillsawの作品に非常に大きく影響を受けています。私好みの良いゲームプレイとシンプルな(それでもってとてもクールな)ビジュアルとの、素晴らしいコンビネーションが取れていますから。ディテールの面では、Mechadonを挙げたいと思います。
Skronkidonk:私が作ってきたマップの本質的な部分には、「TNT: Evilution」の要素が少なからず入っていると思います。Erik Almの「Scythe」シリーズは間違いなく私のマップ制作スタイルを形作っていますね。最も重要なのは、「Alien Vendetta」チームの全員と彼らの作品が、長年に渡る私のマップ制作の方法にインスピレーションを与えてくれたことです。私が作ったマップをSquonkerのメンバーがプレイすると、「Alien Vendetta」にすごく似ていると言われます。JoshyとDarkwaveの「Speed of Doom」にも影響を受けています。
SC:他に賛辞を述べたいお相手は?今が絶好の機会ですよ…
Bobby:母ですね。最高の母親です。そしてEgg Boy。彼も最高だね。「誰にでもできる!」と言ってくれたGusteauにもお礼を言いたいですね。そしてとてもクールな作曲家であるジョン・ケージとエリック・サティにも。
言うまでもありませんが、私がDOOMを始めたときから私の道を見つける手助けをしてくれたDOOMコミュニティのみんなにも、お礼を言いたいと思います:LordEntropy、DevilMyEyes、Obsidian、Cacodemon187、Death Bear、Blue Pineapple、Skronk、T.Will、Raiva、ZeMystic、Uber、AD_79、Maribo、rd、Myolden、Yugiboy85、DCG Retrowave、Mikolah、Ludi、 SkeletronMK、Essel、Scuba Steve、Bank、roadworx、そして、Doom The Way id Did、Doomworld、Discordの仲間たち。シカゴにいる友達たちにも。進み続けて!
ZeMystic:私もBobbyのお母さんにお礼を言いたいですね。そして、DOOMの世界に引き込んでくれ、安いノートパソコンに「Doom Builder」をセットアップしてくれた父にもお礼を言いたいです。「Tetanus」の、面白くて素晴らしいトレーラーを制作してくれたEduardoAndFriendsにも感謝の意を示したいです。
そして最後に、Squonkerのみんなにもありがとうと伝えたいです。レベルのデザイン、音楽制作において、影響を与えてくれました。皆がいなければ、私は犯罪のようなつまらないことに手を染めていたと思います。
Egg Boy:Maribo、Ludi, Makkon、Ukiro、愛猫のルビーとルナ、Squonkerの最初のファンでいてくれたTarnsmanにお礼を言いたいです。そして家族。MF DOOMにも今一度、追悼の意を表します。
Bobby:そうだな。
T. Will:人生を通して支えてくれている家族、マップ制作の駆け出しの頃に助けてくれたJimmy、マップクリエイターとして成長させてくれる、面白くてクリエイティブなSquonker Teamのみんなにお礼を言いたいです。そして、辛い時期に支えてくれた友人のKris、Matthew、Andrew、Autumn、Sam、Nate、Emi、Jeremy、Justin、Maddyにもありがとうと伝えたいです。
Uber:何千キロも離れた場所に引っ越してもなお私を支えてくれて、時々音信不通になっても辛抱してくれる家族。どんな時でも一緒に楽しくおしゃべりし、ゲームをしてくれる旧友のDilleix、Tigre、Sabio。そして有望なマップクリエイターの新星であり素晴らしい友人でもあるfeforにお礼を言いたいです。
どういうわけか「Tetanus」の世界に入り込んでしまった猫のBizcochaにも。
Yugiboy85:第二の故郷・家族と言っても過言ではないDOOMコミュニティにお礼を言いたいです。そして私を一員にしてくれたBobby_(笑)、Skronk、T.Will、Raiva、ZeMystic、Uber、AD_79、Myolden、Ludi そしてもちろんEgg Boyに感謝の意を伝えます。あたたかく歓迎してくれるBTSXチームにもありがとうと伝えたいです。
Squonker Teamに心からの感謝を!「Tetanus」などの作品をさらに知りたい方は、『DOOM(1993)』と『DOOM II』のアドオンメニューから今すぐアクセスしてください。また、『DOOM』MODコミュニティの著名なメンバーが登場する過去のNods to ModsインタビューはSlayers Clubからご覧いただけます。
申し訳ございませんが、こちらのコンテンツにはアクセスできません。以下をご確認ください: プライバシーポリシー