「Winter’s Fury」MOD制作者、Pyroscourge氏へインタビュー!

投稿者: Joshua Boyle

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前回私たちが絶賛したWAD「Winter’s Fury」の記事はご覧になったでしょうか。今回は、このクレイジーな氷の世界を表現したMOD制作者にインタビューします。全てのMOD制作者必見の記事ですよ!

Pyroscourge氏は2007年にMOD制作を始めました。現在のハンドルネーム「Pieruskwurje」でご存知の方もいるかもしれません。オーストラリアのキャンベラ在住のPyroscourge氏は、氷の世界のMODを制作しながら、実際には寒くて厳しい冬を体験したことはないそうで、「テレビなどで見る以外、この目で雪を見たのは人生で3回だけです。しかもそのうち2回は軽いみぞれ程度でした」とのこと。

そんな話はさておき、Pyro氏に質問で迫りましょう!

Q:『DOOM』のMOD制作を始めたきっかけは?

A:兄弟の友達が、MODをサポートしている『DOOM』をプレイするためのオンラインプラットフォーム、ZDaemonを僕たちに教えてくれたんです。「Destination Unknown」や「Drown in Blood」、「Ivasion of UAC」など、たくさんのMODをふたりでプレイしましたね。どれも最高だと思いました。それからすぐにマップをたくさん紙に書くようになりました。以前から考えていたCoopプロジェクト用のマップで、タイトルは「Hell Unleashed」、続編のサブタイトルは「The Awakening Shadow」と名付けていました。僕たち兄弟は、かなりクリエイティブな子供でしたね。

Q:「Winter’s Fury」完成までにはどのくらいかかりましたか?

A:4年弱ぐらいですかね。作り始めたのは2009年で、今から10年以上前になります。このMODの基本となったものは、友達が週末に開催したスピードマッピングコンテスト(設定した時間内にマップを作るコンテスト)のために作ったものだったので、(ここまで長いプロジェクトになったのは)ちょっと予想外でした。「Winter’s Fury」のMAP01がそれで、もともとは「Snow Moon」というタイトルだったんですよ。

DE Winters Fury Map in-body

Q:このWADは何人のチームで制作していますか?

A:これは僕ひとりのプロジェクトではあるんですが、全部自分でやったと言えば嘘になります。『DOOM』コミュニティの歴史は長く、さまざまなMOD素材を制作する人がいて、クレジットにちゃんと名前を載せれば気前よく自分のMODにも使わせてくれるんです。

「Winter’s Fury」にはクレジットファイルと、最後にクレジットマップがあって、このMOD制作を可能にしてくれた全ての人をリストにして掲載しています。みんなの協力にとても感謝しています。

Q:このWAD制作には、どんなツールを使いましたか?

A:多くの部分でマッピングにはDoom Builder 2、データ管理にはSlumpEdを使いました。開発の最後の1年ではGZdoomというモードプラグインを使っています。3Dのフロアや動的な光源、スロープなどを視覚化できるようになるので、いろいろ楽になりました。今でもこれなしのMOD制作なんて考えられませんね。

DE Winters Fury Editor in-body

確かに、このソフトウェアは今となってはかなり古いものです。マッピングにはずっと進化したGZDoombuilderやDoomBuilder Xがありますし、Sladeならデータ管理とマッピングの両方が可能です。SlumpEdなんかは、もう僕のPCじゃ動作しないみたいですけどね。こういうツールの開発者には、MOD素材を提供してくれた人たち同様、頭が下がりますし、同じように感謝しています。

Q:敵には新規で作ったものと、既存の敵に変更を加えたものがいますが、両者のインスピレーションは何から得ましたか?

A:氷系の敵は、もともと屋外ステージ用に作ったものでしたが、最終的にストーリーに関連するものにしました。氷系の敵は全て、オリジナルの強化バージョンとして制作するつもりだったのですが、初期のある段階で、そのアイデアはボツにしました。

まあ、いくつかは強化バージョンとして残したものもありますし、特性だけを変更したものもあります。たとえば、アイスマンキュバスは攻撃のパターンが異なっていたり、アイスアーチバイルは体力と攻撃力が上昇していたり、とかですね。元々アイスアーチバイルには、アイスヘルナイトを無限に生み出す召喚能力をつける予定でしたが、弾薬の心配があり、このアイデアもボツになりました。

ボスは完全に別物にしました。ボスは僕の兄弟(クレジットではMaelstrom)が主にコーディングしています。面白い攻撃のアイデアを思いついたのは彼ですし、僕と違ってDECORATEスクリプトを使ってそれを実現できますから。どうやってアイデアを思いついたのか今度彼に聞いてみます。

Q:武器で敵に与えられるノックバックについて聞かせてください。これは、どうやって思いついたんですか?

A: ノックバックは、全くの偶然で生まれたものです。それに、どうしてそうなったのか、詳しく調べもしませんでした。でも、すごくいいと思ったので、そのままにしたんですよね。「壊れていないものを直すな」の究極の例でした。

結局それはZDoomで生成されたポートで機能する、Weapon.KickBackというプロパティが原因だと分かりました。どうやら無意識に通常以上の数値に上げてしまい、それをそのままにしていたみたいです。

DE Winters Fury Hall in-body

Q:このWAD制作で、一番難しかったことは何ですか?

A:テスト段階と、さらにリリース後も大きな問題だったのは、弾薬のバランスです。このMODでは高難易度でもバックパックが存在しないので、プレイヤーは元々の弾薬制限で進めることになります。さらに武器の攻撃力が通常とは違うので、いろいろ困惑することがあると思います。

バックパックを導入すれば弾薬バランスの問題はすぐに解決するかもしれませんが、プレイヤーに武器を使いすぎていることに気付いてほしかったし、弾薬の使い方をもっと分散させることにチャレンジしてもらいたかったんです。これが正しい判断だったのか、今でもまだ分かりません。

Q:インタビューの最後に、何か伝えておきたいことはありますか? この機会にぜひお願いします。

A:「Winter’s Fury」をプレイしてくれた皆さん、どうもありがとう。ちょっと変に聞こえるかもしれませんが、このMODを楽しんでくれて本当に幸せです。まだ未プレイの方にもぜひ楽しんでもらいたいです。これからも面白いMODをもっと作っていきたいですね。実は近いうちに発表できるものがあります。

MAP08の導入部のテキストをネタにしたジョークをさんざんかましてくれたJimmyにも感謝します。今またやってしまっていますが。

Pyroscourgeさん、ありがとうございました! 「Winter’s Fury」について興味がわいてきた方は、氷の世界を舞台にしたこのMODに私たちが挑戦するですのでぜひご視聴ください。スレイヤーの皆さん、それでは次回をお楽しみに!

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