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Nods to Mods インタビュー:「DOOM Zero」

  • 2020 Dec 15
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  • 作成者:Joshua Boyle

『DOOM』ファンの皆さん、再リリース版『DOOM (1993)』と『DOOM II』用の新たなアドオン「DOOM Zero」がプレイ可能になりました! 『DOOM II』の25周年を記念するアドオンとして、南アフリカのクルーガーズドープに住む35歳のMOD制作者、Christopher Golden氏がソロプロジェクト(!)として作り上げた壮大なMegawadです!

今回のSlayers Clubの独占インタビューでは、Golden氏に「DOOM Zero」やMOD制作、ゲームデザインについてお話を伺いました。お楽しみください!

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Slayers Club:この「DOOM Zero」では主に何からインスピレーションを得ましたか?

CHRISTOPHER GOLDEN:大人になってからもそうですけど、子供の頃から『トゥームレイダー』の1作目や、DOS版の『プリンス オブ ペルシャ』、『King's Quest: Mask of Eternity』といったゲームが好きでした。どれも戦闘はいま一つという感じでしたが、パズルやプラットフォームアクションが好きで楽しんでプレイしていました。

そこで、私が好きな難しすぎない謎解きとプラットフォームアクションを『DOOM』の楽しい戦闘と組み合わせようと考えたんです。こういった要素をFPSに取り込んでも上手くいかない、とよく言われていましたが、最近の『DOOM』シリーズやValveの『Portal』シリーズのおかげで、それが間違いだった、と証明されたと思います。

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SC:『DOOM』を初めて知ったきっかけは何ですか?

GC:私は幸運にも初代『DOOM』を発売当時にプレイすることができました。ただし『DOOM』をプレイできるような性能のPCは持っていなかったので、他の人のパソコンでプレイする必要がありました。それから数年後、叔父さんからお下がりのIntel 486を搭載したPCをもらったんです。すぐに、2台のPCをパラレルケーブル(イーサネットケーブルですらありませんでした)で接続するやり方を知って、486搭載のPCを持ってきた友人と一緒にCo-opやデスマッチを何日もプレイしていました。

SC:『DOOM』のMOD制作を始めたきっかけは何ですか?

GC:ゲームの自作にも挑戦してみたんですが、プログラミングは退屈で骨が折れる作業でした。私にとって、ゲームを自作することに最も近かったのがMOD制作でした。とても楽しかったです。MOD制作による収入はほとんどありませんでしたが、私は経験豊富なプログラマーと共同でゲーム会社を設立することができたんです。現在は新しいMODは制作しておらず、新作ゲームの開発に全力を注いでいます。私が今まで作ったMODが好きな人なら、この新作ゲームをきっと気に入ってくれると思います。

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SC:『DOOM』のMODとステージ制作を始めてからどれくらいになりますか?

GC:2010年からです。最初に制作したMODはとても粗削りで、迷路のような構造だったのでプレイテスターの皆さんを混乱させてしまいました。でもそれがいい経験となり、その後もスキルを磨き続けて、2016年にいよいよ完全なMegawadの制作に取りかかることにしました。これが「DOOM Zero」になったんです。

SC:この豪華なMegawadの完成までに費やした時間を教えてください。

GC:2年ですね。最後の3分の1は4ヵ月間で完成させました。『DOOM II』のアニバーサリーに間に合わせることが目標だったからです。とはいえ、終盤のステージも妥協はしていません。その頃にはあらゆることをすっかり把握できていたので、制作速度もずっと速くなっていて、作業ミスもずっと少なくなっていました。それに、2011年に作ったマップも改変して再利用しています。

SC:このMegawadを『DOOM II』の25周年に間に合わせようと思った理由を聞かせてください。

GC:「DOOM Zero」はオリジナルのDOS版『DOOM II』でプレイできるように作りました。私は『DOOM II』は1作目と同じくらい重要な作品だと思っているんです。スーパーショットガンやアーチバイルのような、多くの人に好かれていて、『DOOM』シリーズのシンボルともなっている有名な要素の多くは、『DOOM II』で登場しています。

アニバーサリーに合わせてリリースしたもうひとつの理由は、「DOOM Zero」の制作にすでに2年を費やしていたので、特別な日にリリースしようと目標を立てて、早く完成させるためのモチベーションにしたんです。さもないと、さらに2年間開発を続けてしまったでしょうからね。

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SC:「DOOM Zero」は何人のチームで制作しましたか?

GC:私一人です。ただし『Amnesia: The Dark Descent』用MODの「Key to Freedom」など、過去に作ったMODでは開発を手伝ってくれた人たちがいました。それに、ゲームコミュニティの皆さんからのフィードバックは本当に大きな助けとなりました。「Let's Plays」は、私自身では気付けなかったバグや問題のあるデザインを見つけるうえでとても参考になりました。「DOOM Zero」の開発でも同じ手法を取っています。

SC:このMegawad制作には、どんなツールソフトを使いましたか?

GC:私がソフトウェアで重視するのは速さと効率なので、人気や機能の豊富さは気にしません。ステージ制作にはお馴染みのDoom Builder 2を使用しました。サウンドにはNero WaveEditorを使用しました。インターフェースの精度が高く、反応が速いからです。古くてサポートが終了したソフトウェアなので、これでできない作業にはAudacityを使います。

カスタムグラフィックにはAdobe Fireworksを使いました。PhotoshopやGIMPなどよりも、同じ作業をする際のクリック数が少なくて済むんです。これもサポートが終了したソフトウェアですね。

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SC:この素敵な新しい武器や敵はどうやって作成したんですか?

GC:最初は新しいコンテンツをあまり追加するつもりはなかったのですが、開発が3分の2くらい進んだところで、プレイしていて新鮮に感じられるようにするため、どうしても新しいモンスターを入れたいと思いました。幸いなことに『DOOM (1993)』のアルファビルドには、未使用のプロトタイプの「ロストソウル」のスプライトが入っていました。これは新しいモンスターにピッタリで、ほとんどそのまま使えました。死亡アニメーションを少し修正しただけです。この新たなモンスターは「Alpha Soul(アルファソウル)」と名付けました。

ラスボスの「The Demon Witch(デーモンウィッチ)」は、アーチバイルやバロン、罪の聖像のように、まずは『DOOM (1993)』のスカルプチャーテクスチャからキャラクターを作っていきました。制作にあたっては、テクスチャを拡大してテンプレートとして使用し、その比率に合うように女性のお年寄りの顔の画像を改変しました。特に新たなアニメーションのフレームを追加する際は、見た目を整えるためにペイント作業が必要になりますね。

プラズマライフルにも変更を加えましたが、これは多くのプレイヤーがBFGを手に入れるとプラズマライフルをほとんど使わなくなったり、それどころか一切使わなくなることに気付いたからです。BFGの方が使っていて楽しいからでしょうかね? そこでプラズマライフルをもう少し魅力的なものにしようと考えて、オリジナルの「ウァァァー」というけたたましい発砲音の代わりに、(個人的に)より爽快感を感じられるパルス発砲音のサウンドを追加したんです。また、クールダウンのアニメーションを削除して、より操作が敏捷に感じられるようにしました。

ゲームバランスを崩したくはなかったので、大きな変更は加えていません。ビジュアルデザインについては、武器の左側に銅管が突き出ている特徴的なデザインを使って、『DOOM II』のプラズマライフルと『DOOM 64』のプラズマライフル、さらには『Quake 3』のプラズマガンとの間のミッシングリンクと感じられるようなものにしました。

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SC:「DOOM Zero」制作における最大の課題または困難を教えてください。

GC:このMegawadを特別なものにしたかったので、ゲームに新たなメカニクスを追加しただけでなく、DOS版で動作するようにしました。そのため、DOS版特有の様々な仕様やバグに対処する必要がありました。

最大の困難はvisplaneの制限でした。Doom Builder 2のNode Viewerや、Visplane Explorerのアドオンがなければ、完成は不可能だったと思います。皮肉なことにソースポート版では、DOS版には存在しなかった問題が新たに発生しました。PRBoom+では空付近でセクターバグが発生し、Chocolate Doomでは特定の1つのマップでクラッシュしてしまいました。

SC:オリジナル版では使われていないのに、バニラのゲームプレイに違和感なくはまる興味深いメカニクスが使われていますが、どうやって思い付いたのですか?

GC:まず最初に、とてもシンプルなマップを作ります。テスト用の環境を構築するための十分なスペースがある、大きな四角い空間です。そこで様々なツールやメカニクスを試してみて、どれがMOD未使用バージョンの『DOOM』でも使えるかを確認します。それから、私が使うことにしたパズルに合わせて、マップの構造やレイアウトを決めていきます。

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SC:どのようにステージをデザインしていますか? また、「DOOM Zero」におけるステージの分岐や、その導入理由について教えてください。

GC:私はいつも、マップごとに新たなパズルや、パズルの組み合わせを導入しようと心掛けています。初めてプレイする人のために、まずは簡単で安全な場所でパズルを登場させて、後のステージで同じパズルの難易度の高いバージョンを登場させるようにしています。

その好例が、Map10で毒の地面を走り抜けるパズルです。ここでは真っ直ぐ走るだけでいいのですが、その後のMap20では、同じパズルが登場するものの、登るごとに少しずつ足場が高くなっていきます。ここではスピードを維持しつつ、毒の中に落ちないように方向転換する必要があります。

ステージ分岐に関しては、プレイヤーが全マップを探索する際の障害とならないようにします。こうして、後戻りしたり、シークレットの通路を使ったりなど、どんなルートを選んだとしても100%コンプリートが可能になるようにしているんです。分岐では、特定のエリアを訪れる方向や順番が変化するだけです。こうしておけば、分岐を作成する際に、特定の分岐でしかアクセスできないエリアを一から新しく作る必要がありません。ただしMap 14は例外になっています。

SC:『DOOM』コミュニティで好きなMOD制作者またはMOD制作チーム、そして彼(ら)が制作したお気に入りのMODを教えてください。

GC:Cyb氏の「Void」と、Serious_MOod氏の「Void and Rainbow」です。偶然ですが同じような名前ですね。どちらもクリエイティブでオリジナリティが高く、ビジュアルが素晴らしく、平均的な『DOOM』のMODよりもボリュームがあります。

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SC:その他に感謝を伝えたい人はいますか?この機会にぜひお願いします。

GC:私の作った他のMODをプレイしたい方や、開発中の新作ゲーム『Falconet』の最新情報を知りたい方は、ぜひIrukasoftware.comをチェックして、私たちのサポートをお願いいたします!